【シネマチュプキ】9月上映『ブルーハーツが聴こえる』で音声ガイドのナレーションに挑んだのはLUNKHEADの小高芳太朗

シネマ・チュプキ・タバタで9月に上映される作品のひとつが『ブルーハーツが聴こえる』

音声ガイドの収録を終えたロックバンドLUNKHEADのボーカル・ギターの小高芳太朗さんとシネマ・チュプキ・タバタの佐藤支配人の対談をお届けします。

映画『ブルーハーツが聴こえる』

1995年に解散した伝説のパンクバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲を、李相日、清水崇ら6人の監督が自由な解釈で映像化したオムニバス映画。
同棲して3年になる彼氏の浮気現場を目撃してしまう女性の苛立ちを描く「ハンマー(48億のブルース)」(主演:尾野真千子/監督:飯塚健)、執筆中に自身の高校時代へタイムスリップし、片思いの相手と再会する脚本家を描いた「ラブレター」(主演:斎藤工/監督:井口昇)のほか、「人にやさしく」(主演:市原隼人/監督:下山天)、「少年の詩」(主演:優香/監督:清水崇)、「ジョウネツノバラ」(主演:永瀬正敏/監督:工藤伸一)、「1001のバイオリン」(主演:豊川悦司/監督:李相日)の6編で構成。

今回、李相日監督作品「1001のバイオリン」の音声ガイドのナレーションをつとめたのは、ロックバンドLUNKHEADのボーカル・ギターの小高芳太朗さん。

LUNKHEADとは・・・1999年に結成された4人組のロックバンド。メンバーは小高芳太朗(ボーカル&ギター)、山下壮(ギター)、 合田悟(ベース)、櫻井雄一(ドラム)からなる。2004年1月にシングル曲『白い声』でメジャーデビュー。
2016年にリリースした『決戦前夜』はアニメ「うしおととら」の主題歌にもなる。
LUNKHEAD公式ホームページより)

小高さんは、以前、シネマ・チュプキ・タバタで「さとにきたらええやん」が上映された際にトーク&ライブイベントにも出演され、チュプキにご縁のある方。

作詞作曲も手掛けている小高さんが、音声ガイドを通して感じたことや、曲作りとの意外な共通点とは?

音声ガイドをやってみて

佐藤
音声ガイドのナレーションをやってみてどうでしたか?

小高
映画の中に入っていく感覚っていうのが最初佐藤くんが言ってる時によくわからなかったんですけど、やっているうちに自分が映画の中に入っていってる感じがすごいわかって。作品を作っていってる感覚がしましたね。

途中で佐藤くんが「曲みたいだな」って言ってたけど、作品として自分がその作品のひとつになっていく感じがおもしろかったですね。

佐藤
小高さんだからできる音ってあるんだなって思いました。

「1001のバイオリン」のような、みんな苦しんでるし、それに対して少しでも光の方になんとかできないのかっていう風に。小高さんの曲もそうだと思うんですよね。

深い闇にいたからこそ、目指すべきところがあったような感覚があったんですけど。

小高
どうなんですかね?どうなんだろう(笑)

佐藤
今回の収録時にも自分の中にエゴがあって、テイクを重ねましたけど、やっぱり一番最初のテイクがよかったりして、最初の自然と出てくる音とか言葉とか、嘘なく純度が高いものが胸に残るっていうのを、まじまじと感じましたね。

そこに行きたいんだよな、という方向性が自分の中で見えたというか。

小高:最初は本当にびびってたけど、思ってたのと違うと言われたらどうしようとか(笑)

でも、佐藤くんが俺を引き出してくれるっていうか、ふたりのセッションだったなという感じがしました。

曲作りと日本語の可能性

佐藤
音楽とは畑違いなところで声で表現するというところだったんですけど、いつもは(声を)出して表現するのを抑えて表現するのはどうでしたか?

小高
歌うときもありますよ、抑えて表現することも。だからそこに対しての感じは掴みやすかった。

そんなに苦労しなかったと思うんですよ。それはよく自分の曲でもありますね。

佐藤
音声ガイドは言葉を選ぶところで、すごく責任をもって選ばないといけない。視覚障碍者の方に嘘もつけないし、自分がなぜその言葉を選んだか裏付けのないものには込められないなと思っているんですけど。

佐藤
歌詞を書いている時もいろんなワードがあると思うんですけど、小高さんは歌詞をつくる時はどんなことイメージされているんですか?

小高
メロディがあるから字数がまず制限されるじゃないですか。あとイントネーションもすごく気にしていて。音で聞いたときに言葉の持っているメロディが生きるようにっていうのはすごく意識していて、あんまり言葉のメロディから逸脱しないようにはしています。

佐藤
曲作りも、妥協せずやるっていうところなんですかね?

小高
歌詞はこれ以上ないっていうところまで頑張るかな、俺は。て・に・を・はまで。でも(歌を)録ってからこうした方がもっと良かったと思うときもあって。「は」より「が」の方が強くできたな、とか。

佐藤
日本語にすごくこだわっているように思えるんですけど。

小高
よく言われるんですけど、日本語しかしゃべれないだけで(笑)

佐藤
日本語の可能性って感じますか?

小高
やっぱり日本語ってすごいと思いますよ。色もすごい表現がいっぱいあるし。

一人称の言い方だけでも、俺、僕、私、それがし、拙者、小生?わし、おら、いっぱいあるじゃないですか。すごくこまやかだから。それと風景を歌詞にすることがよくあるけど、言葉でどれだけ景色を描けるかにはすごい頑張ろうと思っていて。たとえば「十六夜の月の道」と言う曲の「街灯が削り取る鉄紺の闇」(という歌詞)とか。そこだけ闇が削られている感じとか。

言葉を「掘り起こす」

佐藤
曲を作る・歌詞を作る時はどんな感じで書くんですか?

小高
書こうと思って書きますね。曲先(曲を先行して作る)だから、曲の持っている雰囲気とかでこの曲が何を歌われたがってるんだろう?っていうのを(考えて)。

佐藤
それは音声ガイドと一緒ですね。音声ガイドも何を伝えたいのかを探る工程なので。

小高
感覚としては、最初から決まっている歌詞を「掘り起こす」みたいな。 「生み出す」というよりは、もうその歌詞はその曲ができた時に決まっていて、それを見つけ出す感覚かもしれないです。

佐藤
音声ガイドの立ち位置っていうのは、表現は合ってるけどこの言葉だとハマらないなっていうのがあって。

語感的なのか画とのマッチングなのか、合わない時があって、それを探し当てるというのが(曲作りと)重なるところなんだなと思いました。

小高
近いかもね。だからすっごい書き直しますね、歌詞は。だいたい最初に書いたものは最終的には何も残っていないことが多くて。とりあえず字面をうめてみて、ボリュームを目で把握して、一番言いたいことは何だろう?って書いた歌詞の中から消していって、足していくと、全然違う歌詞になる(笑)

それでどんどん研ぎ澄ましていく感じですね。

映画の制作に関わってみて

佐藤
小高さんはDJとかはされていますけど、今回みたいな音声ガイドナレーションに携わってみていかがでしたか?

小高
嬉しかったですね。嬉しいのとおっかないのと。でもまぁ本当にシネマ・チュプキ・タバタはこういう機会を、自分の人生の裾野を広げてくれるような経験をさせてくれるからありがたいですね。

佐藤
小高さん以外に浮かばなかったので。「さとにきたらええやん」の時も、あれから知ってくれたLUNKHEADのファンの方たちが今でも(映画館に)来てくれたりするんですよね。ちゃんとレスポンスが返ってくる。お客さんが返してくれて、それがすべてだなと思ったんです。今回もたぶん、レスポンスが返ってくるような感覚がすでにあるんですけど、終わってみてどうですか?

小高
早く観たいです。プレイバックしながら(収録が)進んでいった時に、結構いいじゃんと思った感触があったので、早く通して観たい。でもどきどきするな(笑)

表現者ということ

佐藤
ミュージシャンだからこそできる音声ガイドっていうのがあるなと思って。樹木希林さんが音声ガイドのナレーションをされたことがあるんですけど、やっぱり「樹木希林さん」になるんですよね。小高さんも「小高芳太朗」になるんですよ。それがやっぱり「表現者」なんだなっていうか。常日頃表現者であるから、どのかたちになったとしても小高芳太朗さんになるんだなと。

私生活とバンドを別にされている方もいますけど、小高さんは限りなくイコールに近い生活をされているなっていう。かなりさらけだしてると思うんですけど、それが今回のような(音楽とは別の)ことをしても、ちゃんと表現として小高芳太朗っていうかたちになるんだなと感じました。

小高
佐藤プロデューサーのおかげですよ(笑)

佐藤
僕としてはすごく可能性が見えたので。ありがとうございました。

小高
いい経験をさせて頂きました。

佐藤
今後どんな曲ができるか、楽しみにしています!

音楽と映画の枠を超えて作られた音声ガイドが、一体どのような作品になったのか?9月のシネマ・チュプキ・タバタでぜひそれを「体感」してもらいたいと思います

(文:加藤芽実)

『ブルーハーツが聴こえる』映画情報詳細

 

映画:ブルーハーツが聴こえる
公式ホームページ:http://tbh-movie.com/

尾野真千子 角田晃広/市原隼人 高橋メアリージュン/斎藤工 要潤 山本舞香/ 優香 内川蓮生 新井浩文/永瀬正敏 水原希子/豊川悦司 小池栄子 三浦貴大
監督:飯塚健 下山天 井口昇 清水崇 工藤伸一 李相日
ザ・ブルーハーツ楽曲 「ハンマー(48億のブルース)」「人にやさしく」「ラブレター」「少年の詩」「情熱の薔薇」「1001のバイオリン」
(C)TOTSU、Solid Feature、WONDERHEAD/DAIZ、SHAIKER、BBmedia、geek sight

「シネマ・チュプキ・タバタ」場所詳細

 

店舗名:「CINEMA Chupki TABATA(シネマチュプキタバタ)」

ホームページ:http://chupki.jpn.org/

定休日:水曜日

営業時間:10:00〜23:00(上映時間はホームページを確認ください)

住所:〒114-0013 北区東田端2-8-4 マウントサイドTABATA

電話番号:03-6240-8480

シネマ・チュプキ・タバタは、日本で唯一のバリアフリー映画館。座席に搭載されたイヤホンで、いつでも場面解説の“音声ガイド”を聴くことができ、目の見えない方でも一緒に映画を楽しめるようになっている。音声ガイドとは、登場人物の動きや情景を音声で説明するナレーションのこと。シネマ・チュプキ・タバタでは、この音声ガイドを一人でも多くの方に知ってもらうために、日々新たな挑戦が続いている。

関連記事:田端にも映画館があった!「Chinema Chupki Tabata(シネマチュプキタバタ)」に行ってきました

 

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